副鼻腔炎(蓄膿症)とは
顔の骨の中(頬と両目の間、額の下の骨の中)にある空洞を副鼻腔と言います。その空洞は粘膜で覆われていて、それぞれが鼻のなかで繋がっています。ここに炎症が起こることで、副鼻腔炎が引き起こされます。
副鼻腔炎(蓄膿症)はウィルス感染や細菌感染、アレルギーなどによって、副鼻腔で炎症が起こることが原因とされています。
風邪をひくと、鼻の粘膜で炎症が引き起こされ、その炎症が副鼻腔内の粘膜にまで広がると副鼻腔炎となります。風邪によって急な炎症が起こってしまうのを、「急性副鼻腔炎」といいますが、適切に治療を受けることで1~2週間の治療期間で改善していきます。
しかし、治療せずに放置しておくと、症状がひどく長引いてしまい「慢性副鼻腔炎」となってしまいます。慢性副鼻腔炎のほうが、治療期間が長くなるので早めの対応が必要です。
また、子どもの副鼻腔は、2歳頃から発達し始めて、17歳頃にほぼ完成する器官です。生まれたての新生児期の副鼻腔は、まだ直径1㎝程度で鼻腔とも繋がらず骨髄で形成されています。そのため、小さい子どもの副鼻腔炎はないとされています。
しかし、4歳~6歳頃になると、副鼻腔の通路が広がり炎症を起こしやすくなるので注意が必要です。
副鼻腔炎(蓄膿症)の症状
副鼻腔炎の主な症状は、黄色い鼻水(膿性鼻汁)・鼻づまり(鼻閉)・頭痛・頭重感・顔の圧痛・嗅覚異常・痰が出る(後鼻漏)・咳嗽・集中力がないなどの症状です。その多くは、風邪(上気道感染)の後に併発します。
とくに、粘り気のある色のついた鼻汁が多く出て、匂いが分かりにくくなるのも主症状の一つです。鼻汁がのどに回ると咳の原因となってしまいます。つらい鼻づまりによって、頭がボーっとなり、集中して勉強ができないなどの支障をきたすことがあります。
また、鼻と耳を繋げている中耳にまで影響し、急性中耳炎や滲出性中耳炎を発症してしまうこともあります。ひどくなると、症状のつらさによって睡眠障害を引き起こす可能性もあるので軽視できません。このように、風邪が治ったあとも先の症状が長引く場合は、副鼻腔炎になっていることが疑われます。
発症から4週間以内なら急性副鼻腔炎、3カ月以上なら慢性副鼻腔炎というように、症状の持続期間によって分けられます。これらは、長引く咳(慢性咳嗽)の原因になるので注意が必要です。子どもの場合は、なかなか症状を訴えることが難しいので、そばにいる家族が気づいてあげることが大切です。風邪をひきやすいお子さまの場合は、繰り返す風邪とともに副鼻腔炎も繰り返すことがあります。
子どもが最近黄色いや緑色の鼻汁を垂らすようになった、常にティッシュが必要、鼻が詰まって不機嫌、寝つきが悪い、痰が絡んだような咳がなかなか治らないなど、とくに発熱を伴う風邪が治ったあとにこれらの症状が目立っていたら、副鼻腔炎の可能性を疑ってみましょう。
子どもは大人に比べて治りやすいため、気になる症状がある場合は、小児科や耳鼻咽喉科で相談してきちんと治療を受けましょう。
検査方法
副鼻腔炎の検査は、適切な診断と治療法を定めるためにいくつかの検査を行うことがあります。一般的に副鼻腔炎の検査には、鼻腔内の細菌培養検査、単純X線検査、CT検査などがあります。
当院では、鼻腔内の細菌培養検査を行っております。また、他院(さい整形外科クリニック)に依頼して単純X線検査を行い、受診日当日に副鼻腔炎の有無を評価することも可能です。
(当院ではCT検査を行うことはできません)
治療方法
鼻処置
副鼻腔炎の際の処置は鼻汁の吸引や薬の噴霧などの鼻の処置があります。
内服治療
副鼻腔炎は、およそ60%の患者さんが自然治癒することがあり、抗生剤投与を行うには検討を要します。
症状の重症度に応じて抗生剤の投与、必要に応じて高用量の抗生剤(ペニシリン系)の投与を行います。慢性副鼻腔炎でかつ、高用量抗生剤投与が効かない場合は、少量のマクロライド系抗生剤を長期間(3~6ヶ月)投与することもあります。
また、鼻水をさらっとさせる治療薬や、副鼻腔の粘膜の炎症を抑える治療薬を使いながら治療を進めることもあります。
子どもが鼻をかめないときの対処法
鼻がかめないお子さんも多いですね。鼻がかめないときは、鼻をすすらずに鼻の片側ずつ静かにかむことが大切です。口を閉じて、片側の鼻の穴を指で塞ぎ、静かに鼻から息を出すように誘導してあげましょう。どうしても自分で鼻がかめない子は、器具を用いて鼻汁を吸ってあげます。鼻を吸い取る器具には、チューブ式や電動式があります。お母さんが口でお子さんの鼻を吸ってあげるのはやめましょう。